長時間待たせるときはフセを
たとえば、あなたが家やドッグカフェなどで食事をしているときやドッグランやホテルの受付をしているときなど、長時間、ワンコにじっとしていてもらいたいシチュエーションというのは、よくあります。そんなときに便利なのがフセです。フセとは、ワンコが胸を地面につけて、じっとしている状態のことで、非常にリラックスできる楽な姿勢です。ですからフセを覚えてもらうことは、ワンコが快適な生活を送るためにも、非常に重要なのです。
自然にワンコがフセの姿勢をとっているときがチャンス
ではフセを覚えてもらうためにはどうすれば良いでしょうか。
まず、普段からワンコをよく観察してみてください。実は、誰に教わるでもなく、自然と何度もフセのポーズをしています。そこで、この姿を見たタイミングで「フセ」と声をかけてあげます。これを繰り返すことにより、ワンコは「フセ」と声をかけること=地面に伏せることだと認識するようになります。
何度か行ったあと、次に、ワンコが普段の姿勢のときに、「フセ」と声をかけてみましょう。このときに伏せてくれれば成功です。ワンコを褒めてあげてください。もし、あなたがフセと声をかけても何も動かないようであるのなら、また、普段から声をかけてあげるところからやり直しましょう。
フードを使ってフセを教えよう
フセというのはリラックスでき楽な姿勢であると同時に、ワンコにとっては無防備な姿勢です。ですから、まだ十分にあなたとワンコに信頼関係が結べてなかったり、警戒心の強いワンコだったりすると、なかなかうまくいかない場合があります。
そのような場合は、フードを使ったしつけを行ってみましょう。ただし、このしつけは、オスワリができるワンコ限定の方法です。もしできないのならまずはオスワリをしつけましょう。
それでは方法を説明していきます。
- オスワリしたワンコの鼻先に、フードを握った手を近づけ、匂いをかがせ、手の中にフードがあることを印象づける(図1)
- ワンコが興味を持ち始めたら、ゆっくりとその手を床に向かって移動させる(図2)
- 鼻でフードの入った手を追い、フセの姿勢になったら、「フセ」と言い、その後、手の中のフードをあげ、ワンコを褒めて撫でる(図3)
- 1~3までを繰り返したあと、「フセ」と言ってフセの姿勢を取ってくれるかどうかを試す。できたらフードをあげ褒めて撫でる。できなければまた1~3を繰り返す
- 4を繰り返し、「フセ」と2回声をかけて2回ともフセをしたらフードを与えて褒めて撫でてあげる、三回、四回、五回……というように、フード+褒めて撫でるといったご褒美をあげる回数を減らしていく
- フードを与えず褒めて撫でるだけにする。最終的には声をかけて褒めるだけでフセするように
図1
図2
図3
【フードを床においてもフセの姿勢をとらない場合】
フセの姿勢をしてくれない場合は、次の二点を試してください。
- フードを床に持っていくときに、頭が下がると同時に、お尻を上げてしまう場合は、フードを使って誘導するときに、空いている手でお尻を押さえてあげる。ただし、お尻を触られるのを嫌がるそぶりを見せたらやめる(図4)
- 床に座り足を曲げ、膝下にワンコがフセの状態で通れるぐらいの隙間をつくる(体育座りのときの足の形)。手の中のフードでうまく誘導しながら、その隙間をくぐらせる。くぐろうとすると自然とフセの格好をするのでそのときに「フセ」と声を掛ける(図5)。できたらフード+褒めて撫でる。これを繰り返す。
図4
図5
以上のことを繰り返して、指示だけで、フセができるようになったら、街中や他のワンコの多い場所など、ワンコがじっとしにくい場所でもできるようにしましょう。
またしつけを行うときは、家族間での指示語の統一など、どのしつけにも共通する注意事項には気を付けてください。