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愛するからこそきちんと考えておきたいワンコのお金の話 その2 行政書士・ファイナンシャルプランナー安田勝氏に聞く


 さて、皆さんお待たせしました。

 昨年12月15日に、第1回を配信した、「愛するからこそきちんと考えておきたいワンコのお金の話 その1 行政書士・ファイナンシャルプランナー安田勝氏に聞く」。

 実はかなりの反響がありました。

 そこで、年末の慌ただしい時期よりも、新年しばらくたって落ち着いてからの方がよいのではないかということで、今回から連載再開することにします。

 前回の記事は、こちらになります。ぜひ、もう一度、ご覧になってください。

 「愛するからこそきちんと考えておきたいワンコのお金の話 その1

 さてその2のスタートです。

――ワンコのお金を考える上で、シニア層には遺産相続について考えておくことが必要だとおっしゃっていましたが、詳しく説明してください。

 私のところに来る相談で圧倒的に多いのが、60代後半から70代前半の方々の「もしも私に何かあったらこの子(飼っているワンコ)はどうなるの?」というものです。特に最近は、ワンコを筆頭に、ペットを飼われているお一人さまが多いんですよね。
 そして、身寄りはいるんだけど、遠隔地に住んでいる。そういう状況の中で、生活していると、こういう不安がつきまとうんですね。

――何かあったらというと。

 自分が認知症になったりとか、もし長期入院をしてしまうほどの病気にかかってしまったりとか、身の回りのことができなくなって高齢者介護施設に入所してしまったりとか。
 いろいろなケースが考えられると思いますが、いずれの場合も、ワンコは残されてしまうわけです。そんなワンコの大抵の末路は保健所行きとなってしまう。
 そうはさせたくないというのは、飼い主さんにとっては当然のことだと思います。

――シニア層だけでなく、突然飼えなくなる可能性は若い人にもありますよね。

 そうですね。ですから本来なら飼い始めてから、自分がいざというときに、ワンコをどうするかを考えておいた方がいいです。どこか身近で引き取ってくれそうな人がいるのかどうなのか。いない場合は、しっかりと手を打っておかなければなりません。

――では具体的に何をすればよいのでしょうか?

 ペット信託®を考えられてはいかがでしょうか。ペット信託®とは、民事信託の枠組みの中の一つです。いざというときにそなえ、ペット信託契約書を作成しとくというものです。
 例えば、私がなくなったら、ワンコを子どもに預けたい。でも子どもはペット不可のマンションに住んでいて飼えない。でも、お子さんは、お金の管理はできるというケース。
 この場合、私どもの方で、事前に動物愛護団体さんと協力して里親探しをしておいて、その間に、信託財産として銀行に口座をつくって、15歳ぐらいまでの飼育料+アルファーかかるであろう医療費を積み立ててもらう。そして万が一の場合は、その口座から、月々の飼育料を新しい里親さんに、お子さんが支払いをしてもらう。そんなスキームづくりのお手伝いをします。
 私どもが信託監督人という立場で、ちゃんと飼育料が払われているのか確認したり、里親さんがきちんとかわいがっているか、きちんと確認しにいったりするので、ワンコのために安心してお金を残せる仕組みだと思います。

――信託が発生する時期というのは?

 契約書によって決めるんですよ。認知症が発症した時期にするのか、亡くなったときにするのか。想定していたより預ける年数が長かったり、短かったりすることもあると思います。もしワンコが予定よりも長く生きた場合も、新しく飼い主になる方には引き続きしっかり飼ってもらうよう、事前に了承いただいておくので、そこらへんはご心配なく。
 また、飼い主さんが元気なうちにワンコがなくなってしまった場合には、そのままお金は、飼い主さんに戻りますから、若い人などは、保険のように使うのもいいでしょうね。

――お金の管理ができる人がいない場合は、どうすればいいのでしょう

 銀行や信託会社に間に入ってもらうしかないのですが、そうすると、結構お金がかかってしまう。そこで、金の管理者が不在のときでも、大丈夫な仕組みを現在つくっているところです。

 さて、皆さんペット信託®ご存知だったでしょうか。

 次回は、もう少し詳しく語っていきましょう。

安田勝 行政書士
「行政書士やすだ法務事務所」代表
 1954年神奈川県茅ケ崎市生まれ。上智大学文学部仏文学科卒業後、日本経済社へ入社。
 広告営業として、住宅・不動産、流通、IT、官公庁など多くの企業、団体のコミュニケーション活動をサポート。その後、住宅展示場の企画・運営会社で新設展示場のコンセプト開発や地権者の相続問題、ハウスメーカーとの契約業務、開発許可に伴う行政折衝などの案件を手がけ、実績は10年で1000件を超える。
 元来、犬好きであり、ドッグライフコーディネーターとして愛犬家シニアへのセカンドライフプランなどのファイナンシャル・アドバイスやペットの相続問題などの法的支援を行うことで愛犬との豊かな暮らしを守る活動を続けている。一般社団法人 エンディングメッセージ普及協会会員

ホームページ:
http://doglife-yasuda-office.com/


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