さて、今回も引き続き德田院長のインタビューをお伝えします。前回は、熊本地震の際の状況などについてのお話しを掲載しました。今回は、震災後に感じたことなどについて語っていただきます。
――震災後のペットの状況などについて教えてください
震災後に、うちの病院などに来るペットたちを見ていると、一連の流れがあるんだなと気付きました。まず震災が起きて一週間ぐらいは、パニックで走りまわってしまい壁やガラス窓にぶつかったり、倒れてきた本棚の下敷きになったりと、外傷で運び込まれるペットばかりでした。
1週間過ぎたあたりから、ストレスによって飲まず食わずで脱水症状になったり嘔吐や下痢をしたりするペットが増えてきました。そして、2週間、3週間となると、それが慢性化して肝不全、腎不全を引き起こす。そんな流れがありましたね。
――やはり、地震はワンコもふくめ、ペットに相当な精神的負担が掛かるんですね
相当掛かります。特に熊本地震の最大の特徴は、余震がかなり多いことです。余震が起きるために、パニックになってしまっています。
――それは致し方ないことですよね……
いち早く症状に気付き、ひどくなる前に病院に連れていくというのが第一ですね。それと、飼い主さんがパニックになると、それ以上にペットはパニックになります。ペットは頼りがいのあるリーダーの元では安心する。リーダーが右往左往すると、ペットは不安で仕方なくなります。なかなか難しいかもしれませんが、何が起こっても、どんと構えていることが大切です。
――いろいろな避難所も回られたと伺いましたが、そこで何か気がついたことはありますか?
被災地を回る德田院長(右)ら
いくつかの避難所の様子を見てきましたが、ペットのいない避難所というのはほとんど会話がなかったですね。うちの避難所ではすごい活気がありましたよ。みんなペットのためになんとかしなくちゃ、自分が守らなくちゃといろいろと活動するんです。ペットの持つ力を感じた瞬間でしたね。
(つづく)
【告知 読者の皆さまご協力お願いします】
現在、環境省のガイドラインなどでは災害発生時にペットの同行避難を推奨しています。その甲斐もあってか、熊本地震では多くのペットが飼い主と避難所まで同行したそうです。しかし、同行はできても、なかなか避難所内に同伴はできず、結局は、飼い主さんも避難所を利用できなかったというケースも多くあったと聞きます。
ペットを嫌いな人も避難されているところにペットが一緒に避難するということは難しいと思います。必要なのは同伴避難所の開設です。
現在、德田院長は災害時もペットという家族と安心して避難できるガイドラインの整備、同伴避難所開設のマニュアル作りを行うための署名活動を行っています。
いつ、どこで地震に見舞われるかわかりません。いざというときのためにも、ぜひ、ワンズマガジン読者の方々も署名にご協力ください。
署名活動に協力いただける方は以下のURLからお願いします。
https://www.change.org/p/いざという時-ペットも一緒に避難させて-支え合う家族が離れないために?source_location=petitions_share_skip
德田竜之介(とくだ・りゅうのすけ)
1961年鹿児島で生まれ、青春期の多くを熊本で過ごす。父が医者でなおかつ動物に囲まれて育ったこともあり、小さい頃から獣医師に自分はなるものだと思って育つ。麻布大学大学院獣医学修士課程修了後、関東で勤務医として腕を磨き、1994年に竜之介動物病院を開業する。また2004年には九州動物学院を開校し、後進の育成にも努めている。TBS局系列で放送されている「情熱大陸」で取り上げられ、9月23日には、衆議院第一議員会館で開かれる『動物と人の未来を考えるサミット~動物虐待のない世界へ~』の中で「大震災発生その時ペットは?」と題した講演を議員らの前で行うなど、現在さまざまなところから注目を集めている。