2011年3月11日に起きた東日本大震災では、数多くの方が亡くなったり家を失ったり、甚大な被害を受けました。また、環境省の発表した「東日本大震災のペットの被害状況」によると、青森県で少なくとも31 頭、岩手県で602 頭、福島県では約2500 頭のワンコが亡くなったといいます。ほかの県では正式な数が不明ということで、具体的な数字はほかに書かれていませんでしたが、かなりの数のワンコが命を落としたことは容易に想像できます。
震災からもうすぐ5年。亡くなられた方、ワンコたちのご冥福を祈るとともに、これを機会として、大震災からどのようにワンコを守っていくのかについても考えてみてはいかがでしょうか。震災はいつ起こるのかわからないのですから……
ワンコが潰されないように家具は固定!
我々人間の話になりますが、阪神淡路大震災において、死因の8割以上が倒壊した建物や家具の転倒による圧死や窒息死でした。当然のことですがワンコも震災時には同じような危険にさらされます。建物の倒壊などを防ぐのはなかなか大がかりで大変ですが、大切な命を守るため、まずは身近な家具の固定などをし、家にひそむ震災時の危険を取り除くことが大切です。
本棚などの家具やテレビなどは、固定器具や金具でしっかりと固定しておきましょう。また、本棚は、なるべく重い本を下におくと倒れにくくなります。そして、食器などの中身が飛び出さないように、滑り止めシートを敷いたり、扉がある場合は開放防止器具をつけたりするのもよいと思います。
家具の転倒とともにワンコにとって危険なのが、割れたガラスの破片です。パニックで走り回っているところで、グサリとなってしまってはかわいそう。震災時に飛び散らないように、飛散防止フィルムを張っておくとよいと思います。
時計や吊り下げ式の照明、絵画といった壁や天井にかけてある小さなものも忘れずに固定してください。
いざというときのために準備しておくもの
いざというときに持って行けるように、ワンコ用の非難袋をつくっておきましょう。中は、水と食料、トイレ用品、ブラシ、タオル、ウェットティッシュ、リード、おもちゃといったところでしょうか。万が一途中ではぐれてしまったとき、捜索用に使うためにワンコの写真などを入れておいてもよいと思います。
持っていくものの中でも重いのが水と食料です。もちろんあればあるだけ安心なのですが、自分の非難袋も持っていくわけですから、できるだけ重くならないようにしたいところです。東京都の帰宅困難者対策条例でも規定されたように、災害発生後から3日間を乗り切ることが大切です。とりあえず少なくとも3日分は確保し、体力に応じて多くしていくというのが良いと思います。
ちなみに、埼玉県獣医師会のホームページによると、ワンコの一日あたりの正常な水摂取量の目安は体重1kgあたり20~90mlとあります。つまり、5kgのワンコであれば、90×5×3=1350となり、1.5リットルのペットボトルの水があれば、十分だといえます。
カートやキャリーバックなどを使っているワンコであれば、そのそばに非常袋をおいておくようにして、それらをすべてすぐに持って行けるようにしましょう。抱いて避難するのはとても大変です。可能ならば、カートやキャリーバックには、災害時のことを考えても慣らしておいた方が良いと思います。
そして大震災の備えとして忘れてはならないのが、もしワンコと離れ離れになったときのことを考え、迷子札やマイクロチップといったワンコの身分を証明できるものをワンコにつけておくことです(参照:マイクロチップについて知っておこう!)。
100%それでワンコが帰ってくるというものではないですが、再会する可能性は高くなるので、ぜひ検討してみてください。