今年もそろそろ終わりですが、今年一年さまざまな飼い主さんとお話して一つ気が付いたことがあります。しつけとか、ワンコと行けるレジャースポットとか、いい獣医さんとかはいろいろと意見交換ができるのに、一つだけ、重要なのにあまり活発に意見交換されていないなと感じるものがありました。
それは「お金」の話です。日本人はとかくお金の話をしたがらないとよく言われていますが、お金がないと、ワンコのごはん代も、いざ病気となったときの治療費も払えません。もっと、お金について、話す機会があってもいいのではないか。そう思い立ち、今回、ペットトラブルからペットと暮らす豊かなライフプランの提案など、ペットに関することを中心に活躍されている、行政書士・ファイナンシャルプランナーの安田勝氏に、話を聞くことにしました。
――今回、ワンコを飼う上で、きちんとお金のことについて考える大切さを教えてもらいたくて、お話をお聞かせいただこうと思ったのですが。
ワンコにかかる出費を考えることは本当に大切です。
ごはん代、トイレシート代、ケージなどの環境を整えるための費用など、意外とワンコを飼ってみて、大変だと聞くのが、お金の話。「いやーワンコを育てるのに意外に金がかかるんでびっくりした」という言葉もよく耳にし、その心情がワンコに対する愛情を冷ましているなんてこともあるようで、ひどいケースだと飼育放棄してしまうなんてこともあります。
2年前に「動物愛護管理法」の改正があって、飼い主には動物の「終生飼養」の責任があると明記されたんですけどね。
――たしかに残念ながら、お金の切れ目が縁の切れ目というようなひどい飼い主さんもいると聞きます。
私は「意外にかかる」の「意外」という言葉がキーワードではないかと思っています。
ワンコの費用に関して、考えていなかったからこそ、なんとなく予想以上にかかった気がする。だからこそ、「お金がかかる」と思うのではないのでしょうか。これが最初からかかるものだとして想定しておけば、どうでしょう。それに対して蓄えることもできますし、そこまで、「お金がかかるな」とは思わないのではないでしょうか。
だからこそ、きちんとした見込みが必要なんです。
――本当は、飼う前にしっかりとしたマネープランを考えることが大事ですよね?
確かに前にしっかりと立てる方がいいのですが、今、飼っている人も、一度家計を見直してみてください。月にいくらかかっているのか。ごはん代、ペットシート代、予防接種、避妊、去勢の治療の有無、洋服代などなど、少し多めに見積もってみて、そのためにどうお金を捻出するかを考えた方がいいでしょう。
たとえば、月の飲み会を一回減らすとか、もしかしたらそういったことも必要になってくるのかもしれません。ただ、それがワンコのためになりますし、飼うためには、絶対必要なこと。さらに言えば、しっかりとワンコのことを考えてあげることで、きっと飼い主さん自身のワンコへの愛情も深まっていくと思います。
――意外にかかる、忘れがちなものと言えば何がありますか
まず一つは病気ですかね。人間と違って、動物の医療費は100%自己負担なので、結構な出費になります。ペット保険などの加入もぜひ、早めに検討してみてください。また、ワンコは高齢になると、段差がのぼりづらくなってきます。そのために、段差をなくすなどのリフォームが必要になってくるケースも考えられます。ただ、これは飼い主さんが、年をとったときにも必要になってくることもありますので、ワンコだけにこれだけかかるというのではなく、共に暮らすファミリーという幅広い視点で出費をみつめることが必要ですね。
もう一つ、特にシニア層に考えてほしいのが、遺産相続ですね……。
――遺産相続ですか? これは、どういうことでしょうか。気になるところですが、これは次回に詳しくお話したいと思います。
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1954年神奈川県茅ケ崎市生まれ。上智大学文学部仏文学科卒業後、日本経済社へ入社。
広告営業として、住宅・不動産、流通、IT、官公庁など多くの企業、団体のコミュニケーション活動をサポート。その後、住宅展示場の企画・運営会社で新設展示場のコンセプト開発や地権者の相続問題、ハウスメーカーとの契約業務、開発許可に伴う行政折衝などの案件を手がけ、実績は10年で1000件を超える。
元来、犬好きであり、ドッグライフコーディネーターとして愛犬家シニアへのセカンドライフプランなどのファイナンシャル・アドバイスやペットの相続問題などの法的支援を行うことで愛犬との豊かな暮らしを守る活動を続けている。一般社団法人 エンディングメッセージ普及協会会員
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